今日も一条三兄弟と××な日々。
「先輩っ、大丈夫ですか?」
女子たちが涙目になりながら昴さんに駆け寄った。
「うん。大丈夫大丈夫」と昴さんは笑ってるけど全然大丈夫そうじゃない。2㎞という距離を走らされたこともそうだけど私が心配なのは……。
「日常に必要のない会話は控えてください」
そこへまた監視するように生徒会役員が。
「は?心配するのもダメなの?」
「っていうかただ話してただけで罰則とか頭オカシイんじゃないの?こんなことが許されていいわけがない!」
縛りつける校則に女子は爆発寸前。
「会長が決めたことに私たちも逆らうことができません。校則を守れないというのなら貴女たちも罰則の対象になります。そしたら庇われたことも無駄になりますが、どうしますか?」
役員の言葉に女子たちが前に出たけれど、それを止めたのは昴さんだった。
「俺は本当に大丈夫だから。きみたちは早く教室に戻りな」
自分たちのために走ってくれた昴さんに迷惑はかけられないと後輩は頭を下げて立ち去っていく。
役員は私たちが帰るのも待っていて、動けない昴さんに手を貸すこともできない。
「あの向こうでも男子と女子が内緒で一緒にいるところを見たんですけど、それは取り締まらなくていいんですか?」
すると景ちゃんが中庭のほうを指さした。
「分かりづらいところだから私が案内しますよ」と言って役員の人を連れていく。
そのまま目で私に合図をしてくれて、景ちゃんの機転のおかげて私は昴さんに触ることができた。