今日も一条三兄弟と××な日々。
「そんなヤツの言うことは聞いちゃダメだよ」
私の足を止めるようにそんな声が。
「す、昴さん!」
「ちょっと外にいるカラスの数が気になってね。集まってる箇所を調べてる最中だったんだけど……」
と、昴は目線を落として倒れている晶くんを見た。
「弟に随分厄介なことをしてくれたみたいだな」
そう言って今度は昴さんが私の前に立つ。
「暇潰しに少し遊んでやっただけだ」
「暇潰し……?これでもずっと世話のかかる弟たちを面倒みてきたから兄弟愛は強くてね」
「………」
「つまりこっちも暇潰しでお前を殺してもいいってわけだ」
ドクンと昴さんらしくない言葉に心臓が跳ねる。
いつの間にか昴さんの瞳が赤く染まっていて、凶器のように鋭い八重歯が霧島くんを狙っている。
鳥肌が立つぐらいの空間感。ここが学校だということを忘れそうなほどに。
「透明人間よりは吸血鬼のほうがまだ利便性があるな。だけどゴミに変わりはない」
「………」
「焦らなくてもあとでゆっくり相手をしてやるよ」
霧島くんはそう言うと外にいるカラスに無言の視線を送った。
監視するように群がっていたカラスたちは一斉に校舎から離れていく。
「今はその無防備な透明人間をなんとかしたほうがいい。出来が悪くても可愛い弟なんだろ?」
フッと鼻で笑いながら霧島くんは私たちの横を通りすぎた。そして……。
「あとで迎えにいく」
私にそう告げて霧島くんは廊下を歩き去っていった。