今日も一条三兄弟と××な日々。
「茉莉ちゃんはどうして保健室に?」
そう聞かれてハッと本来の目的を思い出した。
「実は指をハサミでざっくりとやっちゃって……」
左手の人差し指を見せながらもまだ血が指先に滲んでいる。するとわずかに昴さんの顔つきが変わった気がした。
ゴクリと生唾を飲むような仕草。
「す、昴さんどうしたんです……わっ!!」
言葉が言い終わらない内に気づけば視界が反転していて、下には先ほどまで昴さんが寝ていたベッド。
いつも優しい昴が強い力で私の腕を抑えていて、それはピクリとも動かせない。
メガネを外している昴さんの顔は〝あの時〟よりもはっきり見えて、その瞳の色は燃えるような赤。
恐怖というより昴さんがいつもの昴さんじゃないような気がしてその目を反らすこともできない。
「ああ、ごめんね。血を見るとつい……」
私の不安な顔を見て昴さんに笑顔が戻った。