今日も一条三兄弟と××な日々。


「でも油断しないでね」

「え……?」

昴さんが私の髪の毛を絡みつくように触る。

瞳の色は正常だ。だけど私の首をなぞるようにその指先が怪しく動く。くすぐったさよりもゾクッとした。


「吸血鬼はね、愛する人の血を吸うことで生き長らえることができるんだ。それはどんなに甘い蜂蜜よりももっと美味で、一度知れば忘れられない味らしいよ」

「……っ」


昴さんの息が私の耳にかかる。

私の髪の毛を後ろに避けて、右の首筋があらわになった。

噛まれる……!直感的にそう思った。目を瞑ってギュッと手に力を入れていると……。


「でも俺は噛むよりもこうして首筋に触れるほうがずっと心が満たされるけどね」

「なっ……」

そして昴さんは私に痛さを与えるのではなく、優しくチュッ……と唇を首筋に当てた。

その瞬間、私の精神レベルは限界に達して自分がどんな顔をしてるか分からない。


「ん?顔が真っ赤だよ?」

意地悪な顔をしてる昴さん。


首筋が熱い。ケガで保健室に来たのに今体温計で計ったら絶対に平均よりも上の数値が出る気がする。


「す、昴さんのせいでしょー!」

血もいつの間にか止まってるし、授業もあと5分で終業のチャイムが鳴ってしまう。


「はは、茉莉ちゃんは可愛いな」

ああ、私って本当に朝からこの兄弟に振り回されてる気がする。
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