今日も一条三兄弟と××な日々。


「ところでなんで鍵は壊されてたのかな?」

ウサギたちを無事に動物小屋へと戻して浮かんできた疑問。南京錠はすでにシルバーの新しいものに交換されていた。


「あー、なんか元々錆び付いてて無理やり施錠しようとしたら壊れたらしい。んで怒れると思って飼育委員が木の板だけを扉に立て掛けて帰ったんだって」

「……え、そ、そうだったの?」

「次の日になってウサギが逃げ出したもんだから本当のことを言うに言えなかったんだろ」


じゃあ、この事件は変質者の仕業でもイタズラでもなかったんだ。

私なんて色々と勘違いして昴さんの料理をウサギの肉だと勘違いしたことが死ぬほど恥ずかしい……!


「でもなんで聖がそんなこと知ってるの?」

誰とも群れないし、ウサギの失踪だって全然興味なさげな顔をしてたのに。


「あいにく良いのは鼻だけじゃないんだ」

聖は自分の耳を指さした。


「だから色々と聞こえてくる。興味がないことも知らなくていいことも」

聖の黒髪がふわりと風にさらわれた。

その瞳はいつもどこか遠くを見ているようで、
昴さんや晶くんにはない空気感がある。
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