今日も一条三兄弟と××な日々。
今授業に戻っても中途半端な時間だし、昴さんも体育館に戻る気配はない。
わずかな沈黙。そして……。
「嬉しいんだよね。晶も俺も」
昴さんは床から立ち上がって、向こうからクルクル回る椅子を持ってきた。それを私の前に置くと対面するように見つめ合う。
「たしかに俺も晶も友達や知り合いは多く作るほうだけど、それでも言えないことのほうが多いし誤魔化してる部分もたくさんある」
「………」
「だから本当のことを知っている茉莉ちゃんには気がゆるむんだよ」
それが本当だったら嬉しいけど……けど。
「でも聖は全然私のことなんて知らん顔ですよ」
ちょっと心を開いてくれたかなって思うとまた遠ざかって、なにを考えてるかちっとも分からない。
「聖は人と関わらないことが正しいと思ってるからね」
「どういう意味ですか?」
すると昴さんは少し言いづらそうな顔をして。
「ああ見えて三兄弟の中で一番人間じゃない血が濃いのは聖なんだ。だからちょっとしたことや感情の起伏で狼になりかねない」
初めて聞いた事実。
私はまだ聖を狼男と認識してないところがあって……。それはそんな素振りも狼男になった姿も見たことがないからだ。
「聖は怖いんだよ、狼になってしまうことが」
ドクンッと心臓が跳ねたのは、クールでいつも冷静沈着な聖にそんな弱さがあると知ったから。