今日も一条三兄弟と××な日々。


結局、私は声をかけることができなかった。暫くして晶くんがお風呂から出てきてまた明るいリビングに。


「俺まりりんと本当はお風呂入りたかったよ。
そしたら背中洗いごっこができたのにさー」

濡れた髪のまま、また晶くんが近い距離に。

でもあまりその言葉は耳に入ってこなくて、ずっと考えてしまうのが聖のこと。


前に昴さんが言ってた。

聖は三兄弟の中で一番人間じゃない血が濃いから、ちょっとしたことや感情の起伏で狼になりかねないって。

狼になることが怖い聖。

そうなることをずっと避け続けていて、それは10年という長い月日の間。

つまり聖は10年間人さえも避け続けていたということだ。だからいつも誰とも群れずに学校でもひとりきり。


寂しいとかじゃない。

そうすることで聖は自分を守っていたんだ。

それなのに私は友達を作ったほうがいいとか言って……あの時聖が怒ったのは当然だ。

私はなんにも分かっていなかった。


「まりりん、どうしたの?」

晶くんが隣で心配そうな顔をしている。


「う、ううん。なんでもないよ」

「そう?あ、またみんなで昔のアルバム見ない?まだまだ面白い写真いっぱいあるんだよ!あれ、昴兄さん!あの写真どこにあるんだっけ?」

「あーアレか。多分俺の部屋のクローゼットの中かな。今取ってくる……」

「わ、私が行きます!」

聖のことを考えすぎてじってしてられない。それに暗い顔だけはみんなに気づかれたくないから。
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