『誰にも言うなよ?』
恐れるな、木乃素子。
相手は同じ高校生。
ギャルがなんだ。不良が仲間にいるのがなんだ。
集団でしか手が出せない、腰抜けだ。
なにか対策を練れば勝てないわけがない。
……なんて、考えていた矢先。
「しばらく頭冷やしてな」
「あたしらに逆らったこと後悔すればいい」
――悲劇が起きた。
掃除の時間。
あろうことか、資料室に閉じこめられた。
「ちょ……」
びくりともしないドア。
きっと廊下側から扉があかないように固定されているんだ。
ここは、4階。
この部屋に窓なんてない。
「誰か、いませんか!!」
ドア越しに廊下に向かって叫んでみるも、反応はない。
見回りの先生や警備員さんが発見してくれるのを待つしかないの?
「……ケータイ、あればなぁ」
携帯電話を持っていないことを、生まれて初めて後悔した。