『誰にも言うなよ?』
「あんたのピンチに気づけなくて」
「……っ、」
いや、そんなの。
雅人が罪悪感なんて抱く必要ないよ?
「かけつけられなくて、ごめん」
「……あの、えっと、」
とりあえず離れてくれないかな!?
「誰にやられた?」
「それ……は……」
「言えよ」
そういってわたしから離れた雅人は
口調こそ落ち着いているが殺気立っている。
なんでそんなに怒ってるの?
そりゃあ、エリカたちはムカつくけれど。
わたしの身に降り掛かったことで
雅人がどうしてそこまで怒ってるの……?
「愛美って子、とか」
「誰そいつ。俺がしめてやろーか」
こ、こわっ……!!
一緒にいると普通にクールな男の子って感じで忘れそうになるけど、雅人、ヤンキーだもんね。
喧嘩したら強そうだなぁ……。
「お兄ちゃん」
――!!!
妹さん、登場。
慌てて雅人から離れる。
「なに」
「テレビ」
「は? テレビくらい自分の部屋にあんだろ」
「そのテレビでみたいの」
「あっそ。それじゃ素子、俺の部屋いこ」
――!?
「わ……わたし、帰るね」
「もう帰んの?」
「お邪魔しました……!!!」