『誰にも言うなよ?』
月曜日、登校すると愛美が絡んできた。
「生きて出られたんだぁ? 残念」
「なんてことしてくれるの。おかげで洗濯物取り込んだら冷たくなってたじゃない」
「ふん。あのまま3日くらい閉じ込められてればよかったのよ」
愛美はマヌケだ。今の発言は『自分が閉じ込めました』と自白してるようなものだから。
コッソリ録音されて逆にゆすられる危険性は考えないのだろうか。
そんな愛美単体に、わたしは負ける気がしない。
問題は、エリカと菜々。
「……愛美さぁ」
「なによ」
「どんなけわたしが好きなの」
「はぁッ!?」
愛美は感情的だ。沸点が3人の中で一番低い。
煽れば簡単に、ボロを出すタイプ。
やはり一番扱いやすいのは愛美かな……。
「だってそうでしょ。嫌いなら、声すらかけないはずだから。こうやって近づいてくるのはわたしに興味ある証拠だ」
「なっ……興味なんて、」
「かまってほしいなら素直にそういえば?」
「調子にのんなよ眼鏡ザル……!!」
サルとはなんだ、サルとは。
愛美とわたしのやり取りにを見た菜々が、離れた場所から笑っている。
「ちょ、笑ってる場合じゃないし!」
愛美がエリカと菜々の元へ戻っていく。