『誰にも言うなよ?』
「言い負かされててどうすんのー?」
「だったら菜々が……」
「嫌よ。委員長と会話しても腹立つだけだし」
なんだか愛美と菜々の波長が合っていないようだが、そんなことはどうでもいい。
次はどんな手を使ってわたしに嫌がらせをしてくるつもりかしらないが、愛美みたいな小物は相手にならない。
わたしが恐れているのは、エリカだけだ。
エリカがこのまま引き下がるとは思えない。
あの子はきっとわたしの息の根を止めに来る。
「おはよ、素子」
――え?
わたしの目の前まで歩いてきたのは
「……おはよう」
雅人だった。