『誰にも言うなよ?』
「持ってないよ」
「え?」
驚くのも無理ないか。
高校生にもなればだいたいの子は持ってるから。
だけどわたしは持ってないし持つ予定もない。
「委員長の家、貧乏らしいね」
――!
「スマホ持てないくらいって相当だよね」
嬉しそうに話すのは、愛美。
雅人とわたしに聞こえるように
——というか、教室内にいる全員に聞かるかのように大きな声で語り始めた。
「中学のとき学校行事にはお母さんじゃなくておばあちゃんが来てたんだって?」
(……っ!!)
どうしてうちの事情を愛美が……。
「ババア来て恥ずかしくなかった?」
「うるさい!!」
声を張り上げたわたしに愛美が口を閉じる。
まわりの人が、わたしに注目する。