『誰にも言うなよ?』
「ねぇ、委員長。英語のノート」
休み時間になった途端わたしの席までやってたきたのは、愛美(まなみ)だった。
「……英語のノート?」
「ほら、課題あったでしょ」
『はやく出せ』と言わんばかりに手を出してくる愛美。
うん、知ってる。知ってるけどさぁ。
それが人にモノを頼む態度かな。
復習問題も解けないバカのくせして
なんで当たり前のように借りようとするの。
『貸してください木乃様、って頼めば?』
(なんて、口が裂けてもいえない……)
だって相手は、愛美だから。
愛美はスクールカースト最上位の一人。
刃向かうようなことをすればただじゃ済まないことくらい、わたしにも理解できる。
「……どうぞ」
「サンキュー」