『誰にも言うなよ?』
裏門で待機している雅人の元へ、すぐに狼谷は現れた。
――黒のバイクにまたがって。
「かぶれ」
狼谷が雅人に投げ渡したのは、黒いフルフェイスのヘルメットだった。
「それから。これ見てろ」
渡されたスマホに視線をおとすと、地図が表示されている。
「この赤い点……」
地図上に点滅する、赤いマーク。
「飛ばすぞ」
「まさかこれが素子の居場所か?」
「ああ」
「……何者なの、あんた。いつもと違いすぎ」
「俺か? 俺は、ただの国語教師だ」