『誰にも言うなよ?』
笑顔でわたしからノートを奪い取ると上機嫌で席に戻っていく愛美。
……こんなの、おかしい。
ただギャルってだけで威張った態度をして、何様って感じ。
どうしてあんなやつにビビらなきゃならないんだ。
わたしは愛美のことを軽蔑している。
バックに怖い不良がついているとか。
刃向かった子が中学時代に酷いイジメを受けていたとか……。
そんな話を耳にしたことがある。
どこまで本当かわからないが、そんな噂もあって彼女のグループに属する子に逆らう者はいない。
「なにとぼけてんの、委員長のやつ」
席に戻った愛美にそう声をかけるのは、菜々(なな)。愛美と同じグループに所属する子だ。
「ほんとだよ。さっさと出せば良いのにね」