『誰にも言うなよ?』
本当に嬉しいのだろうか。
なにを考えてるか、全然わからない。
そんな男の機嫌の取り方なんて、わたしに、わかるわけない。
「なーんてね」
「……!?」
ぐっと、顔を近づけられる。
「ウソつき」
(……!?)
「適当に相づちうたないでよ」
心臓が、口から出てきそうっ……。
「ね?」
このひと本当に綺麗な顔をしている。
不健康そうだけどパーツが整いすぎていて
そのせいか完璧に作られた人形みたい。
「わかった」
「認めるの?」
「認める。わたしは、あなたに興味なんかない」
「ウソ、突き通さないんだ? ボクの機嫌とりたいんでしょ。時間稼ぎ、したいんでしょ?」
(……すべてお見通しってわけか)
詰んだ。
このひと相手に心理戦で勝つのは絶対に無理だ。
「嘘つくのも。優等生のフリをするのも。上手くないし、飽きてきたところ」
「へえ。それじゃあキミはどんな子なの」
「それは……」
「自己紹介、してくれる?」
再びビデオカメラのレンズを向けられる。