『誰にも言うなよ?』


やっぱり綺麗な子だなぁ。


「どうも。お邪魔してます」


挨拶する先生をスルーして「お兄ちゃん、アイスは?」
と雅人に話しかける。


そんな妹さんを見て、微笑む先生。


「は?……冷凍庫にあんだろ」

「それは全部食べた」

「食い過ぎだ。今日は我慢しろ」


アイス大好きなんだなぁ。


ひとり、みんなから離れ

やってきた洗面所は踊れそうなくらいに広い。


この前きたとき手を洗わせてもらったから場所は把握していた。


切り裂かれた制服からジャージに着替え終わる。


先生の上着……ヨレヨレ。ダサい。


だけど、さっと羽織らせてくれたのは、嬉しかった。


リビングに戻ろうとドアノブを握った


そのとき――。


「腐れ縁?」


――中から、会話が聞こえてきた。


「ああ。親同士が付き合いあって、ガキの頃からの知り合い」

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