『誰にも言うなよ?』
バイクが発車すると風がなんとも心地良い。
こんな感覚、初めて。
目の前に先生の背中があって。
必然的にそこにしがみついていて。
先生と、自分でも信じられないくらい、近い。
「ねえ」
「ん?」
「教師って普通ここまで生徒に干渉しないよ。ちょっと、かまいすぎだと思うんだけど」
「そうかもな」
「時間外労働したところで給与でないでしょ?」
「俺じゃなくて青山にかまって欲しかったっていってる?」
「っ、違……」
「あいつ、いい顔つきになってきたな」
「え?」
「お前のことすごい好きなの、見ててわかるよ」
「なっ、」
「最初は口だけの胡散臭い関係だったくせに」
(……バレてたの!?)
いつから?
「前向きに検討してやれば?」
「……は?」
「青山のこと」