『誰にも言うなよ?』
「……ねぇ、先生」
「ん?」
「先生は、どんな高校生だった?」
「俺か。俺は、まあ、あんな感じだ」
「あんな?」
「写真の通り」
あのデスクで見つけた写真は高校時代のものだったのか。
「……随分とカンロクある高校生だったんですね」
「老けてて悪かったな」
先生になったということは大学に進学したんだよね?
暴走族入りながら勉強もちゃんとしてたのかな。
「……カノジョ、いた?」
「さぁ。どうだったかな」
なんでそこでごまかすの。
「今は? 恋人とかいる?」
「いないって言ったらどうする?」
「哀れんであげます」
「クソガキ」
そういう先生の口元はどうせ歪んで笑ってるんでしょ。
嬉しそうに。
見なくても、なんとなくわかる。