『誰にも言うなよ?』
「……っ」
柔らかいものが唇にあたったと
そう思った瞬間には
もう、終わっていた。
頭が真っ白になり
放心状態でいると
「おい」
雅人が、やってきた――。
レオの胸ぐらをつかみ、わたしから引き離す。
「なんでレオがここにいるんだ」
「やだな、青山くん。ちゃんと朝、説明したでしょ。ボクは部外者じゃなくなったって」
……今の、見られた?
「素子の前を、うろつくな」
「怖い顔しないでよ。うろつくなって言われても隣の席だし」
「……またなにか企んでるのか?」
「違うよ。単純に仲良くしたくなったんだ。モトコと」
レオを睨みつける、雅人。
レオは……笑っている。
すごい剣幕の雅人に対し、少しも怯えていない。
「雅人。もう、いいよ」
「…………」
わたしの言葉でレオから手を離す、雅人。
「あ。そうだ……予習できてないとこ、あったんだ。やば。わたし、行くね」
「え? でも、飯は――」
「またあとでね!!」
そういって、ひとり先に教室に戻る。