『誰にも言うなよ?』
そりゃあ、キスされたのは嫌だったし。
うげぇって感じだったけど……。
わたし的には制服や教科書をどうこうされる方が大問題というか。
……ううん。
本当は、強がってる。
キスされて平気なわけない。
あんなことされて、笑ってたいわけじゃない。
「……雅人、怒ってる?」
「別に」
嘘だ。
絶対、怒ってる……。
「雅人……あれはね。ほんとに不本意なもので……」
「あのさ」
ドン、と壁におさえつけられる。
なにこれ。
雅人……?
「もうやめない?」
「……なにを?」
「付き合ってるフリ」
「え……あ……うん。そうだね」
わたしと関わっていれば、また雅人はトラブルに巻き込まれるかもしれない。
本心とは違う言葉もたくさん言わせちゃうことになるし、朝とか放課後一緒にいるせいで、雅人の貴重な時間を奪っている。
「ごめんね。いっぱい、甘えちゃって」
「いいから」
「……え?」
「甘えて、いい。つーか……甘えて。もっと俺に」