『誰にも言うなよ?』
「なになに。深い関係っ!?」
「レオくん委員長となにがあったの?」
おい、誤解されそうなこと言うな。
クラスメイトが勘違いしてるじゃないか。
レオの顔をみると自然と唇に目がいってしまう。
それが嫌で、視線を教室全体にうつした。
(こんなやつに……わたし、ファーストキスを……)
ふと、あることに気がついた。
――愛美が、いない……。
いつもエリカと菜々と一緒なのに。
「深い関係っていうのはー、」
「ちょっとレオ……!」
「落とした消しゴムをモトコに拾ってもらったときに、手が触れたんだよねぇ」
はぁ!?
「なんだー、そんなことかぁ」
「ビックリしたじゃん」
女子たちが、クスクスと笑う。
なにいまのエピソード。適当にも程がある。
まあ、キスのことを話されるはマシか……
なんて思っていると、ペロッと舌を出してこっちを見て笑うレオ。
(アンタねぇ……!!)
「買ってきたよ」
――!
そう言って教室に入ってきたのは、愛美だった。