『誰にも言うなよ?』
「……素子に、言えてないことがある」
「なに?」
神妙な顔つきになる、雅人。
「言うかどうか……迷ってた。本人から聞いたわけじゃないが、おそらくこれは当たってる。ほぼ間違いなく」
「だから、なによ」
「資料室に閉じ込められた素子を助けたのは、狼谷だ」
(……!?)
「え、でも……先生は、なんのことって知らなかった」
「とぼけたんだろ」
「なんのために?」
「それは……多分……」
雅人が口を閉ざす。
「ねえ、なんで先生は内緒にしたの?」