『誰にも言うなよ?』
「あー、待ってよ。ここでボクを殴らないで?」
つかみかかる雅人に、ニッコリ微笑むレオ。
「せっかく仲良くなれたのに喧嘩したら、それこそモトコが悲しむよ」
「……アイツが素子にかまってるのが仕事なんてほんとに思ってるわけじゃないよな?」
「思わないね。カミヤはモトコのこと気に入ってるから放っておけないのさ」
「だったら、」
「だったらモトコに教えてあげろって言うの?『狼谷もまんざらじゃないよ』って。敵に塩を送るの?……はは。本当にヌルいね、キミ。ボクにはそんなことできない。好きだから」
「…………」
「あれぇ。もしかして、青山くんはモトコのことそんなに好きじゃないとか?」
「黙れ」
レオの胸ぐらから手を離す、雅人。
「……好きで好きで、仕方ないんだよ」
「そうだよね。わかるよ。ボクもおんなじ気持ちだから」
「一緒にするな」
睨みつける、雅人。
レオは目を細め笑った。
「青山くんだってさぁ。2人の距離が縮んじゃうって思ったからさっきのこと教えてあげるの迷ってたんだよね?」
「!!」