『誰にも言うなよ?』


――と、そのとき。


ポケットの中のスマホが震え、ビクッと反応したのをレオは見逃さなかった。


「ふぅん。今も、肌見放さず持ち歩いてるんだ?」


レオが片手に掲げて見せるスマホ画面には、わたしの名前が表示されている。

つまりこの着信は、目の前にいるレオからのものだ。


「だったら、そんなものもう要らないよね」

「……っ」

「ボクが捨てておいてあげようか?」


レオの言うとおりだ。

使いもしないスマホを毎日持ち歩いてる。


スマホ本体と充電器は、借りっぱなしのままだった。


「……ねえ。スマホって使わなくても毎月利用料かかってるんだよね?」

「そうなんじゃないの? 自分で払ったことないから知らないけど」というレオに、「支払いがなければとっくに利用停止になってるだろうな」と冷静に意見を述べる雅人。
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