『誰にも言うなよ?』


背後から呼ばれ、振り返ると人影が見えた。


「電気、つけなかったんですか?」


カチッと音が聞こえたすぐあとに部屋の灯りが灯される。


準備室の入口に立っているのは紛れもなく狼谷先生だ。


だけど、さっきわたしが、振り向きざまに見えたシルエットが……。


――写真の中央に写る男性みたいだった。


だから、無駄にドキッとしてしまった。


「ノートありがとうございます、木乃さん」


おかしな話だ。

相手は、あの狼谷先生なのに。


しかし……。


改めてみると、先生ってスタイルいいよね。


小顔で。長身で。足が、長くてさ。


猫背なのが惜しい。

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