『誰にも言うなよ?』
「言いがかりで持ち物を隠された。ノートはビリビリに破られた。……ほんと、人生最悪の気分だったけど、ある人が助けてくれた」
【ちょっと待ってろ】
どこかへと消えてったアイツは
【ほらよ】
日本史に必要なもの、全部揃えてくれて。
【借りた】
【これで問題なく出られるだろ】
【それじゃ、また放課後な。モト公】
はぁ。
どうしてこんなに鮮明に覚えてるかなぁ。
「もしかしてお兄ちゃんが?」
「……うん。テキストとか貸してくれた」
「へぇ」
「あのとき、世の中捨てたものじゃないって思ったよ」
「…………」
「だ、だから。すずかちゃんも。その……青春を楽しんでね?」