『誰にも言うなよ?』
◇
「ふーん。あれがお兄ちゃんのタイプか」
素子が出ていったあと、すずかがつぶやく。
「悪いかよ」
「彼女って嘘だったんだね」
「それは……色々あって。そういうフリしてた」
「ビックリした」
「?」
「あのひと、イジメられてたこと私にあっさり告白してきたから」
「…………」
「そういうことってさ。人に知られたくないよね」
「そういうもんか?」
「そうだよっ……!」
ムキになるすずかを見て雅人は
“ああ、こいつは俺に守られたかったわけではなくて、イジメられていたことを知られたくなかったのだ”と思った。