『誰にも言うなよ?』


 ◇


「ふーん。あれがお兄ちゃんのタイプか」


素子が出ていったあと、すずかがつぶやく。


「悪いかよ」

「彼女って嘘だったんだね」

「それは……色々あって。そういうフリしてた」

「ビックリした」

「?」

「あのひと、イジメられてたこと私にあっさり告白してきたから」

「…………」

「そういうことってさ。人に知られたくないよね」

「そういうもんか?」

「そうだよっ……!」


ムキになるすずかを見て雅人は


“ああ、こいつは俺に守られたかったわけではなくて、イジメられていたことを知られたくなかったのだ”と思った。

< 291 / 540 >

この作品をシェア

pagetop