『誰にも言うなよ?』
「写真のことなら黙ってます。だから、離して下さい……!」
先生の趣味を、面白おかしくネタにしたりなんてしませんよ。
「それは、残念」
——へっ?
掴まれた手首が離される。
恐る恐る顔をあげると、狼谷先生が、薄気味悪い笑みを浮かべてわたしを見下ろしているではないか。
いつもの狼谷先生じゃ……ない。
いつもの先生は
ダサくて、まぬけで、根暗って感じなのに
誰だよアンタ……!!?
「〝残念〟って……?」
「お前のこと、困らせてみたかった」
(はぁあ!?)
「な、なんでですか」
生徒を困らせたいって発言、酷くないですか。
というかヤバすぎませんか。
「しっ……失礼します……!!!」
一目散に、準備室を飛び出した。
なんなの、今の。
ホントのホントに
さっきの男は
あの、狼谷先生なの――!?