『誰にも言うなよ?』
季節は巡り――。
赤く染まる紅葉の葉が
冬の風に散らさている、今日この頃。
「ボクのクラスだけ床暖房設置しちゃダメかなぁ。資金援助するから」
銀髪の、黙っていれば天使のような美少年レオは一言でいうと『イカれた金持ち』。
「そんな大掛かりな工事してまで床から熱を発生させたいの?」
「大掛かりじゃないよ、モトコ。一日あればできるだろうから」
「…………」
「この学校のエアコン全然効かないんだもん」
なにもかも感覚が普通じゃない。
学校を自分好みにカスタマイズしようと考えることそのものが、大掛かりだろうが。
己の欲望のためなら湯水のように金を使い、欲しいものはどんな手段を使ってでも手に入れてきた暴君。
「ねえモトコ。学校辞めてさぁ。家庭教師雇ってあたたかい部屋でハーゲン◯ッツ一緒に食べながら勉強しよ」
「そんな要求、わたしがのむとでも……?」
「ああ、ベルギー王室御用達のチョコレートを使用したアイスの方がよかった?」
アイスの部分でなく、その前を訂正してくれ。