『誰にも言うなよ?』
「寒さなんて重ね着でいくらでも対応できるでしょ。カーディガンとか、もっと寒くなってきたらセーターとかで対応しなよ」
「重ね着かー。脱がすの大変だねぇ」
脱ぐの……じゃなくて脱がすの?
「別に大変じゃないよ。薄くてもあたたかい肌着だってあるからさぁ。ペラッペラなパーカー羽織ってないでちゃんと着込んだら?」
「……モトコってファッションにおいてオシャレより利便性に優れてるかどうかを最優先させそうだよね」
「当たり前」
「まぁモトコならなに着てても可愛いか」
「……!」
さらっとそんなことを言ってわたしを女の子扱いしてくる。
「あー、そうだ。モトコとコタツに入ってみたい。コタツ置こうかここに」
「屋上にコタツなんて見たことも聞いたこともないよね。雨降ったら壊れるよね。誰がこんなところまで運ぶの?」
「だったら屋上に屋根を設ければいいんだよ。誰が運ぶかって? そりゃあプロにお願いすれば解決さ」
「だから学校を自分好みにカスタマイズしようとするな」
「あはは」
出会った頃は最低最悪だったが、今はムードメーカー的存在になりつつある。