『誰にも言うなよ?』


この学校で、勉強だけして、ずっと一人で過ごすはずだったのに。


2人といると、そんなことを考えていたのが昔のことのように感じる。


「モトコは、どこの大学いくのー?」

「もちろん国立だよ」

「あたまいーもんね」


……学費が圧倒的に安いからだけど。


「モトコならお医者さんになれそうだねぇ」

「医療系は、なるまでにお金かかるから考えらんない」

「足し算と引き算してプラスになるなら、お金借りてでもなって、将来的に稼げる仕事に就いたほうがよくない?」


金銭感覚が狂ってるレオにしては的を射たことを言うじゃないか。


「なんならボクが無利息で貸すよ」

「ただより怖いものはないっておばあちゃんが言ってた」

「どうせボクの財産の半分モトコのものになるんだし」

「なに夫婦になる前提で話してるの」

「なろうよー。ってか、なるよね?」

「……随分と重い利息だね」

「ツッコミにキレがないねぇ、モトコ」
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