『誰にも言うなよ?』
――そういえば……。
レオの家の車に乗ったとき
わたしの前で、レオは
【物理的にスキだらけのモトコの唇を奪うことくらい容赦ないのに。臆病になってる】
って、言っていた。
雅人の家のリビングで
レオの気持ちに応えられなかったとき
とても苦しそう、だった。
だけどそんなのは稀で
いつもは、ほんとに
“無敵”って言葉がしっくりくるヤツで。
だから、怖いものなんてないって。
どこかで弱気になんてなってないって気がしてた。
……だけど、違ったんだ。
わたしと一緒だったんだ。
自信がないとか。
ただの言い訳、だった。
「ボクだって拒絶されるたびにへこむし。モトコが選ぶのはボクじゃないかもって考えると死にたくなるんだ」
「それは、ちょっと……ううん、かなり重い」
「はは。死なないけどね。ただ、そのくらいモトコのことになると余裕ないってわかって?」
「うん」
「へらへら隣で笑ってるのは、キミといたいから」
「……うん」
「キミが好きだから」
「……っ、」
「こんなに誰かを好きになんてなったの初めて。誰にも渡したくない。この気持ちが報われないなんて信じたくない。それが、ボクがキミの傍にいられる理由」