『誰にも言うなよ?』
「やってくれたわね」
英語の授業が終わると、わたしの席まで愛美と菜々がやってきた。
エリカは足を組んで自分の席に座ったままで、こっちを見ていない。
「委員長さぁ。エリカのことハメたの?」
「ちがっ……」
「違わないでしょ。わざと、間違った答えノートに書いたんでしょ」
あり得ない。
そんなこと計画的にできるものか。
だいたいエリカのことをハメて、わたしになんの得があるというの。
エリカのプライドを傷つけるなんて絶対にしてはならないことだ。
「顔かしな」
愛美と菜々に連れて行かれた先は——女子トイレだった。
「悪い子にはお仕置きが必要だよね」
ニヤリと愛美が笑う。
悪い子?
お仕置き?
「……待ってよ。わたしは、間違えてない」
あのレベルの問題、間違えるわけないんだ。
「はぁ? なにそれ。エリカがうつし間違えたっていうの?」
「多分……」
その可能性が高い。
「だって。どうする? 菜々」
「どうするもなにも。こうするんだよ」
ビリビリッと破られたノートが、辺りに散らばる。
わたしの、英語の、ノートが……。