『誰にも言うなよ?』
――夢中で、走った。
聞こえてくるのは、パトカーのサイレン。
警察が間もなく到着することを意味している。
校庭に出ると先に救急車が到着していた。
エンジンをふかしている、一台の黒いバイクの前にまっすぐ歩いて行く。
「おい、君。さがってなさい」
わたしを止めようとする教師の手を振りほどく。
「……乗せてよ。黒豹」
すると、男は
「ああ。いいだろう」
そういって、ヘルメットをわたしへとパスした。
「乗れ」