『誰にも言うなよ?』


「いらないでしょ? こんな役にたたないもの」

「っ、」


屈んで拾おうとして、ノートに足を乗せられる。

踏みつけられてしまった。


「あんた、ゴミ拾うの?」

「きったなーい」


……ゴミじゃない。


——カシャッ


電子音がして顔をあげると愛美がスマホのカメラをこっちに向けていた。


「傑作~! エリカに見せよ」


誤解なのに。わざとじゃないのに。


「反省してな」


愛美と菜々が、トイレから出て行った。


チャイムが校舎に鳴り響く。


(……授業、始まっちゃった)


最低の気分だ。


ビリビリに破られたノートだったものを拾い集めるとゴミ箱へと捨てた。


あんなの、もう、使えない。


「——なにしてんの?」

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