『誰にも言うなよ?』


そこまで言うつもりなかったのに。


危機管理能力のないやつだなって思ったよね。


レオも、呆れていたし。


「思い出させて悪かったな」


――え?


「……怒らないんですか」

「どうして俺が怒る必要がある」


そっか。

先生は、こんなことでは怒らないのか。


レオとのキスを知られたとき、事故チュウはキスにカウントしないって言ってたっけ。


【とっとけよ、俺に】

【本気のキスも、その先も】


あんなこと言ったのも

気まぐれ……だったのか。


「雅人とレオは、怒ってました」


まるで自分のことのように……。


「はは。佐々木は2人と会わないほうが身のためだな」


そっか。

あなたは、そんな風に笑うんですね。


「凄まじい殺気を感じたので“ハトのフンが頭に落ちてきたと思って忘れる”って主張しておきました」

「佐々木のキスはハトのフン扱いか。酷いもんだな」

「っ、だって……それくらい嫌でしたから」

「へぇ」

「キスは……! 好きな人とじゃなきゃ、無理です」

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