『誰にも言うなよ?』
◇
「なんとかまとまったみたいだな」
周りを見渡し、雅人が安堵のため息をつく。
「悪かった」
と、小林が雅人に謝った。
「……なんでアンタが謝るんすか」
「俺はあのバカの右腕なのに、目論みに気づけなかった。結果あんな騒動が起きてお前みたいなケガ人を出した」
「反省はいらないので会長の暴走だけ止めててください」
「はは。今年の1年は生意気揃いだな。来年生徒会入ったらどうだ?」
「素子が入るなら考えてもいいですよ」
「……なんだ。銀髪だけでなくお前も木乃狙ってるのか」
「?」
「うちの会長もなんだけど」
「みたいですね」
「それから、俺も」
「は?」
「なんか惹きつけられるんだよな、あの子」
「……わかります」
「あの子は誰を選ぶのやら」
「そんなの……ひとりしかいませんよ」
「え?」
「選ばれるのは俺たちではないです」