『誰にも言うなよ?』
「はじめまして。あの、わたし……隣のクラスの木乃素子といいます。これ、ありがとうございました」
そういって、借りた教科書と資料、それからノートとシャーペンを返した。
……学年一イケメンと有名な、青山くんに。
「ああ。俺の教科書とか、あんたに貸してたんだな」
「はい……すみませんでした」
ねぇ、狼谷先生。
なんでこんな人に借りたの!?
めちゃくちゃ注目されてしまってるじゃんわたし!!
クラス中の人が、こっちを見ている。
やだもう。今すぐ消えたい。
「いいよ、別に」
なんか……クールな人だなぁ。
「俺もピンチのとき、あんたこと頼ろうかな」
「え?……あ、はい。いくらでも」
このご恩は忘れません。
ルーズリーフはきちんとお返しします。
「いくらでも?」
「……?」
「や、なんでもない」
そういって、青山くんが微かに笑った。
うわぁなにこの超絶イケメン……!!!
あのね、青山くん。
あなたに頼み事をされたならば、この学校の女子は、みんな喜んで応えると思うよ。