『誰にも言うなよ?』
学祭当日は、からっと晴れ過ごしやすい気候だった。
「学祭ってこんなに人が来るもんなのー?」
教室の窓から校庭を見下ろすレオ。
様々な制服を着た生徒たちが集まっていて、他校からの来客が大勢あると瞬時に判断することができる。
自分が通ってる学校にこんなことを言うのもなんだが、不良がうじゃうじゃいる高校の文化祭がいい意味で賑わうなんて信じられない光景だ。
「あれから会長やる気出してたからな。うまく集客できたんだろ」
雅人の腕からはすっかりギブスが外れている。
「劇、お客さん埋まるといいけどねぇ」
「それなら大丈夫だよきっと……!」
うちのクラスの演劇は、雅人とレオがタキシード姿で劇のチラシを配ったところ速攻で捌(は)けたくらいには注目を浴びているから。
他校の女子が大勢観客としてくると予想している。
「レオの拡散効果も期待できるし」
レオはSNSを使って宣伝してくれていた。
主に雅人とレオの顔写真を使って女の子を集めていたところ、かなりの反響があって……。
「俺の活躍、女の子ちゃんと見てくれるかな」
一部の男子がめちゃくちゃやる気を出している。