『誰にも言うなよ?』
イケメンに、それほど興味なんてない。
ないけれども。
モノを貸してもらった上にこんな素敵な笑顔を間近で見てしまったら、ドキッとせずにはいられないよ!?
青山くんとは廊下ですれ違ったことや学年集会で見かけたことがあるくらいの関係で。
もっとも、認知しているのはわたしだけで。
青山くんは今、
初めてわたしの存在を認識したんじゃないかな。
肩にかかるくらいの長めの黒髪はサラサラストレートで、耳にたくさんピアスがついている。
不良には違いないのだが。
さっき笑ったとき、口元から微かにのぞいた八重歯が可愛かった。
「見すぎ」
「え……ああ、ごめんなさい! あんまり綺麗だったから」
「は?」
ああぁぁ!!!?
「失礼します!!」
わたしは逃げるようにその場を去った。
「……変なやつ」