『誰にも言うなよ?』
バイトして私の稼ぎを家計の足しにしてもらいたい気持ちもあるけれど……。
家のこともしなきゃならないし、なにより授業料の安い大学に入るのが目下のわたしの目標なので勉強を第一に考えて生活している。
もし余裕がありそうなら長期休暇に学校に申請して短期バイトするのもいいなんて考えているが、それをおじいちゃんとおばあちゃんが賛成してくれるかは微妙な気がする。
おじいちゃんもおばあちゃんも、わたしが楽しんで過ごすことを最優先に考えてくれているから。
もし、家計のためだってバレたら反対されるだろう。
今日、わたしが学校でイジメられたなんて聞いたら、絶対に悲しむだろうな……。
「ご馳走様」
ご飯を食べ終わると洗い物をしたあとお風呂に入って自室にやってきた。
鞄から取り出したのは、英語のノート。
さすがにツギハギだらけで使えそうにないが(トイレの床に落ちたという衛生面でもあまり手に取りたくない)結局持って帰ってきてしまった。
セロテープのつなぎ目を見て、自然と頬が緩んだ。
「なんなの、あのひと」