『誰にも言うなよ?』
……なんで地味なフリしてるんだろう。
優等生のフリをしているわたしに言えたものじゃないが。
狼谷先生が本性を現せば、生徒から舐められることだってないのに。
「すっごく鋭い目、してるよね」
あの目で睨まれれば石になりそう。
まあ、なんでもいいか。
わたしは……
わたしだけは先生の本当の顔を知っている。
それが面白い。
なんだか嬉しい。
(……嬉しい?)
「いや、やっぱりここは面白いところでしょ」
先生、かなり変わってるけど、いい人だよね。
放課後付き合ってくれたし。
……さぁて。
明日からどうしよう。
エリカの怒りがおさまっていなかったら?
愛美と菜々が調子に乗ってきたら?
「はぁ〜」
ため息をつき、
「神様。できれば平穏にすごさせて下さい」
と信じもしない神頼みなんてしたあと
いつも通り、予習のために机に向かった。