『誰にも言うなよ?』



ただクスクスと笑う人。


面白がってラクガキをカシャッと写真におさめる人。


気づいているのかいないのか、寝てる人。


我関せずと音楽を聴いてる人。


「朝っぱらから保健室でなにしてたの?」

「二人で入って行くの見たよぉ~」


愛美と菜々が私の前に立ち、腕を組み、勝ち誇ったような顔でわたしのこと見下ろしてくる。


……心当たりあるクセに。


あんたたちがわたしの上靴に画鋲入れたんでしょ?


それで、影からわたしがどんな反応するか見てたんでしょ?


「……なにも、ないよ」


先生は、わたしの治療をしてくれた。

それだけ。


「ほんとかなぁ?」

「言えないようなことしてたんじゃないの?」


やめろ。

それ以上、不敵な笑顔をわたしに向けるな。


はやく向こうに行け。


「菜々、どう思う?」

「怪しすぎるでしょ。なにかあったら狼谷はクビだし委員長は停学とか? ウケる~」


笑うな。


笑うな……!!!


「いっそ二人まとめて消えてくれないかなぁ」

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