『誰にも言うなよ?』
「ふぅ」
なんだか教室に居辛くなり、屋上でひとり昼食をとる。
あんな幼稚なラクガキひとつで
うろたえてしまうなんてね……。
わたし、こんなに弱かったのか。
「あれ。あんた……」
「あ」
やってきたのは——青山くん。
学年一のモテ男であり
わたしに親切にしてくれた人。
もしかしてここ、青山くんのテリトリーなの?
今からゾロゾロと仲間が集まってくるの!?
わたしは邪魔かもしれないと思った、そのとき。
青山くんの口から出たのは意外すぎる言葉だった。
「美味そうだな」
そう言って、わたしのお弁当を覗き込んでくる。
「俺、中学の頃からこれだから。飽きてきた」
片手に持っているのはコンビニ袋。
青山くんは普段買ってきたおにぎりやパンを食べてるのかな。
わたしからすれば、外食やコンビ二のご飯ってとても贅沢に感じる。
それを飽きてきたなんて逆に言ってみたいものだ。
「別に、美味しくないよ」
「え?」
「あ、これね……自分で作ってるの。たいして美味しくもないかな」
「自分で? すげぇな」