『誰にも言うなよ?』
寝顔が美しすぎて、つい見とれてしまう。
教科書を借りるまでは、青山くんと関わることなんて絶対にないと思っていたのに。
わたしのすぐ隣で寝ているこの状況……。
戸惑うことしかできない。
逃げようか……?
今のうちに。
「そういえば」パチリと目をあけた青山くん。
「……っ、え?」
起きていたの!?
ガン見していたのがバレないように慌ててお弁当を食べる。
「変なのまわってきてた」
……変なの?
「狼谷とあんたが、どうとか」
「え……」
青山くんの言葉に、胸がざわつく。
(もしかして……)
ポケットからスマホを出すとなにか操作する青山くん。
「これ」
そういって画面をわたしに見せてくる。
そこに映し出されていたのは、
黒板のラクガキが写された写真だった。
(やっぱり、今朝の……!!)
そういえば、おもしろおかしく写真をとっている連中がいたっけ。
あれが、なんらかのルートを辿り、青山くんまでまわってしまったということ?
あのデタラメのラクガキ……
同じクラスの人たち以外の目にも触れたんだ。
どれだけたくさんの人に見られたのだろうかと、考えただけでゾッとした。