『誰にも言うなよ?』
狼谷先生、さっきの、見たよね。
キスしそうだったところ……。
食べ終わったお弁当箱を、ささっと鞄になおす。
なんだろう。先生が私に会いにくるなんて。
まさか、今朝のことでなにか話があるの?
「またね、青山くん」
立ち上がろうとした――そのとき。
腕を、掴まれた。
「青山くん?」
「放課後、迎えに行くから教室で待ってて」
「……え……」
なんで青山くんが私を迎えにくるの?
「あと。俺のことは、雅人でいいから」
「へっ」
呼び捨て……!?
「照れなくていいじゃん。付き合ってんのにさ」
もしかして、もう恋人のフリ始まってるの!?
なにも狼谷先生の目まで欺く必要はないんじゃ……。
「返事は?」
「っ、うん。わかった……ま、マサト」
めちゃくちゃ恥ずかしいのですが。