『誰にも言うなよ?』


「ちゃんと守ってもらえよ。青山に」


守ってなんてもらえないよ。

青山くんは、あくまで〝仮の彼氏〟だもん。


自分の身は、自分で守るしかない。


「話はそれだけ?」

「あ?」

「だったらわたし、もう行きますね」


なんだろう。

心が、ざわつく。


「ゆっくりして行けよ。まだ昼休み終わりじゃねーんだから」

「どうして貴重な昼休みを先生と過ごさなきゃならないんですか」

「お前、可愛くねぇな」


うるさい。


……この前は、可愛いって言ったクセに。


「……青山くんは」

「ん?」

「可愛いって言ってくれました。わたしのこと」


なに言ってるんだろうわたし。


「はは。ノロケか」

「っ、そんなんじゃ……」

「悪かったよ」


は?


「余計な心配して邪魔したな。青山のとこ戻れ」


余計な心配なものか。


わたしは……

わたしは、先生がわたしのこと心配してくれたの、すごく嬉しい。


だけど義務的に心配されたのなら、ちょっと虚しいと思ってしまった。


どうしてかな。


「……失礼しました」

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