『誰にも言うなよ?』



青山くんのとこ戻れって言われたけど。

青山くんはきっと眠っているから、屋上に戻るのはやめておこうかな。


自然と足が向かった図書室で、ある人物と遭遇した。


……クラスメイトの、倉田千夏だ。


「今朝は、ごめんね」


え?


「なにも……できなくて」


眉をさげ、わたしの目を見ない千夏。


仕方ないよ。

千夏は、エリカたちの目が気になったんだよね。


謝る必要なんてなにもない。


「別にあなたに、期待してないし。なにかして欲しいとも思わない」

「木乃さん……」


わたしに話しかけない方がいいよ。

千夏までターゲットになるかもしれないから。


なにか言いたげで、だけど言葉の出てこない彼女に背を向け図書室から出た。


どうしよう、まだ教室に戻りたくない……。

やっぱり屋上に戻るのが得策かな。


「委員長~」


……最悪だ。


「なに荷物抱えてんの」

「どこ行ってたのよ?」 


あっという間に愛美と菜々に挟まれた。


エリカは少し離れたところで、壁にもたれかかっている。


「わかった~。狼谷のとこだ?」

「また二人で会ってたの?」


ああ、もう。うざい。


どいて。

邪魔。


お願いだから、視界から消えろ。

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