『誰にも言うなよ?』
「エリカにしたこと許して欲しいなら、いうこと聞いて?」
(……?)
嫌な予感しか、しない。
「一緒に狼谷のことハメよ」
「先生消しちゃお」
愛美と菜々の目論みが理解できないでいると、2人は続けた。
「このままだと噂は広まって、学校全体に知れ渡るのも時間の問題だね」
「そうなると、委員長、居辛くなるでしょ」
……そう仕向けたのはあんたたちだよね。
「だけど委員長が『狼谷に一方的につきまとわれてます』って証言すれば、助かるよ」
なに……それ……。
「度胸見せてよ。そしたらうちらの仲間に入れてあげる」
仲間――?
「アイツ1人いなくなろうが、どうでもいいでしょ。どんくさいダサ教師なんて、要らないよね」
「ちょっと被害者のフリしたらいいだけ。ね、簡単でしょ?」
そんなの、めちゃくちゃだ。
だいたい愛美の仲間になりたくなんてない。
「……英語のノートのことだけど」
「なに?」と、愛美が首をかしげる。
「間違えたの、やっぱりわたしじゃなかった」
目を丸くする愛美。
「なんだよ。まだエリカのミスっていいたいのかよ!?」
菜々に、ギロリと睨まれた。
「違う。そうじゃ、なくて――」
「いちいち口答えすんな!!」